Chembai Vaidyanatha Bhagavathar

(1896-1974)

1896年9月14日生まれ。父親は、その当時における三大楽聖と称せられていた≪Chakratana Subba Aiyar≫の息子、≪Ananatha Bhagavathar≫である。 その父に、3歳の時から、声楽とヴァイオリンの教育を受け、8歳でデビューしている。 当初は、弟の≪Chembai Subramanium≫と≪Chembai Brothers≫として演奏していた。

彼の生涯で最も大きな位置を占めていたのが、グルヴァーユーラッパン神との関わりである。その関わりは、1905年、彼が9歳の頃まで遡る。 彼は、父に連れられ、グルヴァーユーラッパン神を奉る町、グルヴァーユールまで、生地≪Chembai≫から徒歩で辿りつく。 毎年11月に行われる大祭≪Vrichika Ekadasi≫で演奏をするためであった。その旅程で、彼は弟と寺院で歌を歌いながら旅行をしてきていた。 そして、そのグルヴァーユールで、彼ら兄弟は、演奏をする。その演奏を聴き、絶賛した当時の名ムリダンガム奏者であり、 その祭の幹事でもあった≪Pudukottai Dakshinamurty Pillai≫は、それ以降、毎年彼を招聘することとなった。 この≪Vrichika Ekadasi≫に彼は、死ぬまで毎年出演することとなる。そして、グルヴァーユーラッパン神が、彼の生涯に密接な繋がりを持ち続けることとなる。
1909年からは、≪Kaliakudi Natesa Sastrigal≫から、ユニットとしてだけでなく、ソロとしての活躍もできるための教えを受けるようになった。 1918年に、チェンナイでデビューし、ユニットとして、人気を得る。1930年代には、指折りの演奏家となり、ソロでの活動も開始する。

ソロ活動の功績を認められ、1951年には、≪Sangeetha Kalanihi≫の称号を受ける。しかし、その翌年1952年に彼は、アクシデントに襲われる。

彼は、グルヴァーユーラッパン神の前で演奏会を行っていた。しかし、そのコンサートの終盤に、突然彼は声が出なくなってしまったのである。 そのことで、彼は、5年にも渡り演奏会活動ができなくなってしまう。その間、グルヴァーユーラッパン神への祈祷と、アーユルヴェーダの治療で、彼は奇跡的に回復する。 そのことで、彼は、グルヴァーユーラッパン神への信仰をより深めることとなる。そして、一般の人々も、それをバクティによる奇跡として見たのであった。
彼の演奏の最大の魅力は、ヒンドゥスターニー音楽の要素も加味した独特の展開を見せる≪Niraval≫≪Kalpana Swara≫にも、 その魅力が溢れているものの、誰にも真似ることのできない声こそが、彼の最大の魅力であった。

その大きく鳴り響く、輝かしい声は、大地そのものが鳴動しているかのようで、消音器が必要とまで言われたほどであった。 将に、その声は、喉が開ききったもので、何ら引っかかりのないものである。また、復帰後の彼は、大きなテンポを取るようになり、 その魅力ある声も、得意にしていた≪Kambhoji≫などで、よりいっそう安定感のあるものとなった。

彼から教えを受けた演奏家は≪K.J.Yesudas≫≪T.V.Goplakrishnan≫を始め、数多い。中でも、≪K.J.Yesudas≫は、異色のものであった。 ≪K.J.Yesudas≫は既に、マラヤーナム語映画のプレイバックシンガーとして有名になっていたのにも関わらず、彼に教えを請うたのであった。 彼は≪K.J.Yesudas≫の事を全く知らなかったものの、その甘い声に感心しながら、弟子として迎え入れた。 1973年には、彼は≪K.J.Yesudas≫をサブボーカリストとして演奏会を行う。 一般には、≪K.J.Yesudas≫が彼の下でカルナーティック音楽を学んでいることは、知られていなかったため、危惧する向きが多かったものの、結果は大成功となった。 その演奏会の様子は、CD2枚に分かれて出ているが、彼が冗談を飛ばしながら、まだ不慣れで緊張している弟子を盛り立てる姿が見て取れる。
彼は、亡くなる時まで、現役の第一線で活躍し続けていた。1974年10月16日、彼は、いつもと変わりなく、その輝きに満ちた声で寺院での演奏していた。 やがて、演奏会が終了し、彼は、子供達と記念写真を撮った後、夜の沐浴を済ました。そして、その後、いつもと同じように祈祷するためにしゃがんだのであった。 しかしその姿のまま、彼は二度と動くことはなかった。その年も出る予定であった、≪Vrichika Ekadasi≫の一ヶ月前であった。

≪Chembai≫の死によって、その年の≪Vrichika Ekadasi≫での音楽祭は開かれなかったものの、翌年からは、 ≪Chembai Memorial Ekadasi Day Festival≫となって、現在では、2週間近くにも及ぶ、大々的な音楽祭となっている。
公式サイト The Carnatic Music Legend : Chembai.com
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