T.R.Mahalingam
( 1926-1985 )
祖父は、まだ彼が幼かったため、声楽に専念させようとする。しかしながら、フルートのほうにより興味を持っていた彼は、祖父の目に付かないところでフルートを習得していった。 やがて彼の天才的なフルートの才能は、祖父の知るところとなり、五歳の時には既に、様々なラーガやクリティを教えられるようになる。 神童と呼ばれるに至ったその天才的才能は、人並みはずれたターラへの感覚であり、どのような曲であっても、一度聴くだけで完全に覚えてしまい、 ラーガもまたその神秘もたちどころに会得するものであった。彼は、二年間のうちに、一流の演奏家として演奏会を開くだけの能力を持つようになった。 | ||
彼のデビューした当時、カルナーティック音楽でフルートは、≪Palladam Sanjiva Rao≫ぐらいしか活躍していた演奏家はいなかった。 そのため、彼の演奏は、全く独自に育まれたものであると言ってよい。芯のある豊かな響き。それでありながら全く重さを感じさせない、軽やかで自由で自然な歌い回し。 そして、鳥の囀りのような「間」だけで音楽に出来る高度な表現。それらは、それまでのカルナーティック音楽の中に新しい地平を開いたものであり、 それはヴォーカルを規範としてきたそれまでの、カルナーティック音楽に、純粋器楽としての可能性を切り開いたとも言える。 彼の演奏会は、長時間に渡ることも多かったが、中には、8時間にも渡った演奏会もある。その長時間の演奏においても、全く弛緩することなく、 アーラーパナや、ラーガ・マーリカの妙を見せた。 1986年5月31日、逝去。 | ||
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