南インド文化の根っこを、抉りに抉った傑作中の傑作。純粋に娯楽作品としても超一級のできばえ。DVD。
Amman

Suresh, Rami Reddy Kodi Ramankrishna Sri
Soundarya, Ramya Krishna, Baby Sunayana, Vadivakkalasi 1995

  

  

  

  


【ストーリー】


 その昔、ある村が、疫病に襲われ、多くの人々が死んでいっていた。村の人々は、総出でその救いを、女神に求める。その祈祷が行われている場に、一人の信心深い女性がいた。その女性の信心深さに、女神であるラムヤ・クリシュナは、村を救ってあげるのであった。そしてその御加護を讃えて、寺院が建立され、多くの人々が参詣するようになっていた。

 時は下って、現代。その女神の寺院のある村に、信心深いサウンダリアーが住んでいた。サウンダリアーは、ある日、黒魔術師のラーミ・レッデイによって、知り合いが生き埋めにされている現場を見てしまう。しかし、それは、同じ家に住み込むようになった、町から来た医者のスレーシュと恋仲になる黒魔術の儀式であった。何も知らない彼女は、警察に通報し、黒魔術師は、逮捕されてしまう。そのことで、黒魔術師とグルである知り合いの家族は、サウンダリアーを逆恨みするようになる。

 サウンダリアーは、その家族の悪だくみによって、女神の生け贄に選ばれたとして、焼殺されそうになる。しかし、寸でのところで、スレーシュによって助け出され、結婚することとなる。

 やがて、スレーシュは、アメリカに行くことになり、サウンダリアーと共に、行くことにしていた。しかし、逆恨みしている家族は、サウンダリアーのパスポートを隠し、彼女を一人残させ、苛め尽くそうという魂胆であった。

 一人残ったサウンダリアーは、悪だくみによって、狂人扱いにされてしまう。そのお払いのために、火渡りをすることになる。しかし、女神の御加護によって、無事に乗り切る。それに怒った、家族は、とうとう、彼女を夜、撲殺することにする。彼女は、とうとう絶命する。しかし、女神のご加護で、再び命を取り戻す。そして、その時から、寺院の女神は、少女のスナヤーナに化身して、サウンダリアーを守るようになる。そして、サウンダリアーも、その少女を身寄りがないからということで、家に迎えるのであった。

 生きて帰ってきたサウンダリアーに驚く家族は、執拗に苛めを続け、彼女を貶めようと画策する。彼女の夫のいしゃが帰って来る時なども、謀略を働かすものの、女神によって、阻まれる。女神の化身である少女を疎ましく思った、家族は、凡夫を使って、湖に少女を投げみ殺そうとする。しかし、逆に、凡夫は、少女が女神であることを知って、逆に信心深い人間へとなるそして、その家に、刑務所から、黒魔術師が戻ってくる。黒魔術師は、サウンダリアーに復讐を晴らしに戻ってきたのであった。

 家族達は、妊娠しているサウンダリアーを流産させるために、毒を飲ます。それも、女神によって守られ、無事に出産する。しかし、黒魔術師の巧妙に企みによって、化身の少女は、家を追い出されてしまう。罠にはまってしまったサウンダリアーも、今までの恩を忘れ、追い出すのであった。

 そうなってからは、人の心も体も意のままにできる黒魔術師の思うがままであった。まず手始めに、サウンダリアーの子供を殺す。スレーシュも、首吊り自殺するように体を操る。夫の命を助けるように嘆願するサウンダリアーに、黒魔術師は、取引を持ち出す。それは、邪魔で仕方ない寺院の女神の本尊を壊す代わりに、夫の命を助けるというものであった。

 それだけは、許してくれとサウンダリアーは、嘆願するものの、黒魔術師は受け付けない。仕方なく、彼女は、寺院に向かう。寺院でも、躊躇しているサウンダリアーに黒魔術師が、無理強いしているところに、正気に戻ったスレーシュが駆けつける。女神が、凡夫に渡していたお守りの力で、正気を取り戻し、神の力を得ていたのであった。しかし、その彼も、お守りを落としてしまい、普通の人間へと戻ってしまう。彼女達は、どうにか、寺院に立てこもるものの、黒魔術師は、外で、スレーシュを呪い殺そうとする。サウンダリアーは、懸命に女神に助けを求める。そして、とうとう、彼女の、手から流れた血が本尊にかかることで、女神は、目を覚ますのであった。


【コメント】

 元々は、テルグで大ヒットした作品。南インド文化の根っこを、抉りに抉った作品である。詳しく、そして注意深く見て行けば行くほど、汲めども尽きぬものが溢れ出してくる。特に、女神の化身である少女が、お祭りで踊り始める様などは、文化の基底の深遠を覗かされる感がある。それでありながら、娯楽作品としても超一級のできばえ。

 まるで神隠しに遭うような少女役のスナヤーナの不思議な存在感。憑依体質であるサウンダリアーの演技も秀逸。女神役の、ラムヤ・クリシュナも、それ以外の悪役達も、これ以上ないというほどのベスト・キャスティング。この作品は、サウンダリアーにとってもフェイバリットの作品でもあり、ラムヤもまた、この作品で、女神役の新境地を開いた。

 何故、女神は、少女に化身するのか。化身した少女とは、どのような少女なのか。何故サウンダリアーは、苛められなければならないのか。女神は、何故サウンダリアーを助けるのか。何故凡夫が、女神に近づけるのか。少女が、絶大な力を持っているのは何故なのか。神話とはどのようにして発生するのか。そしてシャクティとは、一体何なのか。何故シャクティは、血を求めるのか。そしてそれ以上に、それらの感覚を何時の間にか、日常の中で具現化しているドラヴィダ文化とは一体何なのか。

 問い掛けるものは、あまりにも多い。そればかりでなく、これら全てが、日本の民俗学に見られる習俗とほぼ一致するのは、非常に興味深いと言わざるを得ない。






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