入り組んだ展開の最後の最後でアッと言わせる事実を引き出してくる。マムーティの実直な演技は、非常に素晴らしい。南インド映画。DVD。
Azhagan

Mamooty K.Balachander 1991
Bhanupriya, Madhupriya, Geetha, Soukar Janaki Maragadhamani

   

   

   


【ストーリー】

 マムーティは、実直で皆から信頼されているホテルのオーナーである。彼には、妻がいたものの、交通事故で、彼女は死んでしまい、彼は再婚せずに、四人の子供達と暮らしていた。彼の家には、母親はいないものの、マムーティの温かい心に包まれ、楽しく暮らしていた。しかしなぜか、家に母親の写真は、顔の映っていない後ろ姿の写真しかないのであった。

 マムーティは、きちんと学校に入ったことがなかったものの、音楽・舞踊などに造詣が深い人物であった。彼のスピーチは、実にウィットに富み、洗練されたものであった。そのため、何かと、彼は、コンサートでの挨拶や、最後の批評のスピーチを任されることが多かった。そのスピーチをきっかけに、三人の女性が、彼のことを好きになり始める。音楽のコンサートでのスピーチを聞いた、問題児のマドゥバラーもそのひとりであった。

 マドゥバラーは、産婦人科医のソウカール・ジャナーキの孫娘である。彼女は、口が上手く、マムーティの家に入り込み、子供達と仲良くなる。マムーティもその外堀を埋められた状況から、仕方なく、彼女が家に遊びに来ることを許すしかなかった。

 マムーティは、ある日バヌープリヤのダンス・コンサートのスピーチの代役を引き受ける。彼のスピーチは、いつものように素晴らしいもので、観客は全員喝采する。バヌープリヤもスピーチにうっとりし、彼のことを好きになり始める。彼のことを好きになったのは、彼女だけではなかった。そのスピーチを聞いた、学校の教師のギータも同様であった。

 妻が死んでから女性と近づくことのなかったマムーティは、なぜかバヌープリヤの踊る姿が目に焼きついていた。マムーティは、良い縁が出来たからと、自分の娘を彼女のダンス・スクールで学ばせることにする。その挨拶に行ったとき、二人は、互いが結婚しているのだと勘違いしていたことを笑いあうのであった。

 マムーティは、英語を勉強している子供達の手前、自分もきちんと大学で学ぶ決心をする。マムーティは、試験の前日に熱を出してしまうものの、子供達の助けもあって、見事合格し、チュートリアルの授業を受けることになる。そしてその授業での教師は、マムーティのスピーチを聞いて彼のことを好きになっていたギータであった。

 その頃、マムーティの家には、妻の叔父が足を骨折して、怪我が治るまで居候することになる。そして、マドゥバラーは、子供達の心をガッチリとつかまえ、大胆な行動を取るようになっていた。そのことを気に入らない、マムーティは気に食わないのであった。

 一方で、バヌープリヤとマムーティはより一層惹かれあうようになっていっていた。マドゥバラーは、そのマムーティにとうとう告白する。マムーティはもちろん拒否するものの、その対応に困り、その相談を教師のギータにする。ギータは、妹の炊きつけもあって、チャンスとばかりに、彼と仲良くなろうとする。そして、その中でとうとうマドゥバラーの嘘がばれ、マムーティは彼女を追い出す。しかし子供達の抵抗の前に、彼女をまた家に入るのを許すしかなかった。

 マムーティは、マドゥバラーの祖母のソウカール・ジャナーキに話を聞きに行く。そこで、マムーティは、マドゥバラーは両親を亡くし、恐らくマムーティを父親の代わりとして求めているのだろうと知るのであった。

 ある日マムーティは、バヌープリヤの誕生会に出かける。その場所で、バヌープリヤは、人前で彼と結婚したいと言う。実は、ずっと独身を貫こうと思っていたマムーティは、怒って何も言わずに帰ってしまう。そして、彼女に別れの手紙を書き、投函する。しかし、彼の気持ちを良く判っている使用人の運転手から、もっと自分の気持ちに素直になればと諭され、手紙を取り戻し、本格的に付き合うようになるのであった。

 しかし、その一部始終の電話を妻の叔父は盗聴していた。スキャンダル大好きの叔父は、マムーティに会いに来たギータとマムーティを寺院で会わせるように仕向ける。そして偶然マムーティに会いに来たバヌープリアに、マムーティが恋人と会っていると嘘をつき、話を混ぜっ返す。何も知らないマムーティは、ギータの告白をもちろん断る。しかし、その様子を遠くで見ていたバヌープリヤは、嘘を信じてしまう。

 バヌープリアのダンス・スクールに通っていた娘が、二度と来ないように言われたのを知って、マムーティは、バヌープリアの家に行く。二人の間は、決裂しそうになるものの、しかし逆に誤解を互いに解き、より一層愛し合うようになる。

問題は、マドゥバラーであった。マドゥバラーは、自分が子ども扱いされていることから、大人びたなりをして、マムーティに再びアタックする。それでももちろん、マムーティは断る。そこで、マドゥバラーは、バヌープリアに会いに行き、もしマムーティと結婚できなかったら、自殺するという。バヌープリアも、どうすれば良いのか思っているときに、ダンス・スクールに来ていたマムーティの娘が、マドゥバラーになついているのを見て、ショックを受ける。そして、マムーティは、自分を弄んでいるだけなのだと思い込んでしまう。

 そしてバヌープリアは、テレビの取材などにも完全に取り乱し、とうとう家に引きこもってしまう。マムーティもなぜ、何が起こったのかを知りに彼女と会おうとするものの、彼女は会おうともしない。そしてマムーティのプレゼントした車と一緒に手紙を添えて、絶交する。しかし、その手紙を読んだ、マムーティは、全てがマドゥバラーのしでかしたことであるのを知る。そして、マドゥバラーを家から突き出すのであった。

 しかし、マドゥバラーになついていた子供達は、全員してマムーティに反抗する。そして、皆で家出する。マムーティは、警察を呼び必死に探す。すると、彼らは、庭先の車の中で、マドゥバラーと一緒に寝ていたのであった。

 その様子を見ても、マムーティはマドゥバラーを追い出そうとする。それに対し、子供達は、マドゥバラーがお母さんになってくれれば良いのにと言う。それに対し、マムーティは、マドゥバラーが、絶対やってはいけないことをやったからだと言う。それでも、子供達は言うことを聞かない。その様子を見ていた使用人の運転手が、とうとう痺れを切らし、全ての事実を言えば良いと、マムーティに言ってしまう。それに対し、思わずマムーティは、使用人をぶつものの、とうとう子供達にいつか話さなければならない全ての事実を話す。

 その事実を知った、子供達、マドゥバラー、ギータ達は、是非マムーティが幸せになって欲しいと願う。そして、皆は、バヌープリアとマムーティが縁りを戻すように努力する。しかし、皆がいくら努力しても、二人の思いは頑ななままであった……。


【コメント】

 これほどまでに入り組んだ状況、特に我儘し放題のマドゥバラーをどのようにまとめていくのか見ていたところ、最後の最後でアッと言わせる事実を引き出してくる。その辺の脚本の仕上げは、さすがK.バーラチャンダー。最後のマムーティとバヌープリヤとの縁りを取り戻そうとするマドゥバラー、ギータ、子供達の働き、それに対しての二人の戸惑いの場面の集中力は高い。マムーティの実直な演技は、心が籠もっており、非常に素晴らしい。音楽も全般的に良い。






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