Padayappa

Rajinikanth, Sivaji Ganesan, Abbas, Sentil, Rameshkanna, Nazzer, Radharavi K.S.Ravikumar A.R.Rahamn
Ramya Krishnan, Soundarya, Lakshmi, Sisthara 1998

   

   

   

   


【ストーリー】


 シヴァージ・ガネーサンの村では、結婚する際には、本当に互いが結婚したいかをムルガン神に誓って結婚することになっていた。それは以前、親からの無理やりな結婚で、離れ離れになった恋人同士が井戸に飛び込み自殺したことがあった。その同じ過ちを二度と起こさないために始まった仕来りであった。

 村には信心深く控えめな女性、サウンダリヤがいた。彼女は、傲慢なラムヤ・クリシュナの屋敷で働いていた。ある日サウンダリヤは、女神の象徴でもあるヘビ塚にお参りをしていた。そこにラムヤが訪れ、神聖なそのヘビを殺そうとする。その時、ラジニカーントが現れ、ヘビを助ける。その姿に、サウンダリヤとラムヤは、ラジニに一目惚れする。一方ラジニは、慎ましいサウンダリヤに一目惚れするのであった。

 ラジニの妹のシッタラは、ラムヤの兄であり、親戚でもあるナゼールと結婚することになっていた。ラジニは、その結納に出席するために、里帰りしていたのであった。村に滞在中、サウンダリヤに一目惚れしたラジニは、彼女に告白しようとするものの、上手くいかない。そこでラジニは、ラメーシュ・カンナを介して彼女に手紙を渡そうとする。

 その時、サウンダリヤの世話していた牛が、ラムヤの赤い服に興奮して暴走し始める。ラジニは、ラムヤを襲いかかろうとしていた牛から助ける。そのことで、ラムヤは、一層彼のことを好きになる。サウンダリヤもまた、その勇敢な姿に、ラジニを一層好きになる。しかし、手紙は渡せずじまいであった。

 やがて結納が始まる。その席で、ラジニとラムヤは、シヴァージに促されて歌と踊りを披露する。ラムヤは、その踊りの最後に村人たちの面前で、ラジニにキスをして、ラジニを物にしようとする。

 結納が終わり、ラジニはマドラスへ戻ろうとしていた。そこに、シヴァージの弟のマニヴァンナンがやってくる。彼は、財産分与をシヴァージに迫りに来たのであった。シヴァージは、それに対し、実はマニヴァンナンが捨て子であったことを明かすものの、その財産をすべて彼に分与する。そして屋敷から、出て行こうとするものの、その途中で死んでしまう。

 残されたラジニ達家族は、残された村外れの土地で出直し、取り合えず結婚式に備えようとする。しかし、政治的野心の強いナゼールと父親のラーダラヴィにとって財産を失ったラジニ達家族は、邪魔でしかなかった。ナゼールは直ぐさま、マニヴァンナンの娘と結婚式を挙げ、ラジニ達家族を裏切るのであった。

 ラジニ達家族は傷つきながらも、力を合わせて頑張っていこうとする。すると、そのラジニ達の土地で石が見つかる。その石は、大理石であった。そのことを知ったマニヴァンナンは、ラジニ達をだまして、その土地をせしめようとする。しかし、その契約に際し、何度もアクシデントが起こる。それに対し、ラジニの母親のラクシュミは、シヴァージが契約するなと伝えているのだとして、契約を行わない。

 そのことで、ラジニ達は、大理石の事業を始め、大成功を収める。そして再び、大富豪になり、シッタラも幸せな結婚式をあげる。そのラジニが、貧しいところから立ち上がる間もラムヤは、彼を追い続けていた。一方ラジニも、サウンダリヤへの気持ちを抱き続けていた。そして、とうとうラジニは、サウンダリヤに告白する。しかし、その告白をラムヤは聞いてしまい、激昂する。

 嫉妬の炎でズタズタになった妹を見た、ラムヤの家族は、ラクシュミにラムヤを助けるために、どうしてもラジニとの結婚を許してくれと懇願する。ラクシュミは、それに対し、二人の結婚を受け入れる。

 ラムヤは、勝ち誇っていた。しかし、ラクシュミは、自分たち家族が受けた屈辱を忘れてはいなかった。ラクシュミは、結婚の相手が、ラムヤだとは一言も言っていなかった。彼女は、村人の面前で、ラムヤではなく、サウンダリヤに結婚を申し込む。

 その屈辱に対し、ラーダラヴィは、自殺する。ラムヤは、父親の自殺と、ラジニへの嫉妬の情念に燃える。そして、ラジニ達の家族をボロボロにしようと決心する。

 ラムヤは、赤い服を着たサウンダリヤを牛に襲わせたり、毒入りのミルクを飲ませようとするが、ことごとく失敗する。そして、とうとう、ラジニとサウンダリヤは無事に結婚してしまう。それに対しラムヤは、情念の炎と共に、部屋に閉じこもってしまうのであった。

 時は経ち、18年もの歳月が流れていた。ナゼールは大臣まで出世し、マニヴァンナンは没落していた。何よりも、ラジニは、誰からも尊敬される大企業のオーナーとなっていた。ラジニは、家庭では完全にサウンダリヤの尻に敷かれるようになったものの、二人の娘が生まれ、幸せな家族であった。そしてその娘の誕生日もまた、盛大に行われるのであった。

 ラムヤはその18年もの間も部屋に閉じこもりきりであった。しかし、ナゼールの息子のアッバスが、ラジニの娘と同じ大学に進んでいるのを知って、とうとう復讐に立ち上がる。

 彼女は、アッバスに、ラジニの娘をたぶらかすように仕向ける。そして、計画通り二人は愛し合うようになる。そこに、ラジニの娘に結婚の話が舞い込む。その話を聞いていたラムヤは、娘に嘘を吹き込む。その結果、ラジニの村全体で行われた彼女の結婚式は、台無しになってしまう。ラムヤのたくらみを知らないラジニは、その席で、一ヵ月後娘と愛する男性との結婚式を挙げることができなければ、命を絶つと宣言する。

 それを伝え聞いたラムヤは、これで復讐ができると確信し、微笑えむ。そして、ラムヤの家を訪れたラジニの前で、予定通り、アッバスは、結婚の意志が全くないと言い放つ。そして、ラジニの娘の結婚式の当日、アッバスもまた、他の政治的有力者の娘と結婚することが決まっていることが告げられるのであった。


【コメント】

 この作品を見る上で、ラムヤとサウンダリヤの傑作の≪Amman (1995)≫を見るのは、必須である。パダヤッパは、この作品の土台を全く同じくし、違う視点から光を当てた作品に他ならない。

 そのことを踏まえ見るならば、この≪Padayappa≫が持っている奥底は、凄まじいまでの深みがある。一般には、ラムヤを復讐に燃える女性としか見ないであろうが、実際は、彼女は、カーリーやドゥルガーに代表される女神である。ラムヤが18年の眠りから目覚めた時の音楽は、女神が出てくるときの典型的な音楽である。つまり、ラムヤは、崇拝の対象であることを、しっかりと理解する必要がある。現代の日本人には、ピンと来なくなっている部分があるかもしれないが、ある意味、日本の『道成寺』の話を思い浮かべれは、その女神に同様の畏怖の念が、実はこめられていることを感じ取ることができるだろう。

 ラジニの作品は、女優が光る時に、良作が多いが、パダヤッパはその最高峰。事実、後半のラムヤの演技は、圧巻。そして、実は何もしていないようで、絶妙のバランスを見せているサウンダリヤが素晴らしく、一番の触媒になっている。また、シヴァージの演技や台詞の端々に、タミル語映画のバトンをラジニに渡してゆくかのようなものがあり、感慨深い。



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