Parashakthi

Sivaji Ganesan, S.V.Sahasranamam, S.S.Rajendran R.Sudarsanam Krishna-Panju
Sriranjini, Pandaribai 1952

   

   

   

   


【ストーリー】

 第2次世界大戦が始まってまもなくの頃、ビルマのラングーンに住んでいた、長男S.V.サハスラナーマン、次男のS.S.ラジェンドラン、三男のシヴァージ・ガネーサン。彼らの妹の、シュリランジーニがいた。ラングーンの兄弟は、父親と旅行に出ていた妹のシュリランジーニが、マドゥライの方へ嫁ぐことになったのを知り、直に結婚式に行く準備をする。しかし切符を予約するものの、戦時中ということで、マドラス行きの船便の切符は、ひと家族あたりひとり分しか入手できなかった。そのため、妹にプレゼントする宝石やサリーをシヴァージに持たせて、先にマドラスへ行かせることにする。

 しかしシヴァージは、妹の結婚式に間に合うことが出来なかった。シュリランジーニは、兄たちが誰も来てくれなかった事を悲しむ。しかしそれでも、式はつつがなく執り行われ、夫と共に幸せに暮らすようになる。一方、シヴァージの乗り込んだ船は、戦況の悪化で到着が大幅に遅れていたのであった。

 日本軍の侵攻でラングーンに残っていたサハスラナーマンとラジェンドランは、シヴァージや父と妹の連絡について心配するものの、ラングーンからインドへ歩いて避難することにする。対して、シヴァージは、やっとのことでマドラスに到着するものの、大金を銀行から換金する所を女性詐欺師に見られてしまう。そして、その詐欺した地のワナにはまって、全てを失ってしまう。

 兄たちを待ちながら、妊娠していたシュリランジーニは、出産を迎えていた。その器具を取りにシュリランジーニの夫が向かった時、子供が生まれる。しかしそれと時を同じくして、夫は交通事故で死んでしまう。そしてそのことを知った父親もまたショックで死んでしまう。

 その頃、一文無しになったシヴァージは、途方に暮れていた。そしてラングーンから避難していたサハスラナーマンとラジェンドランも、ラングーから避難の道のりは厳しく、途上、日本軍からの攻撃にさらされ、ラジェンドランは行方不明になってしまう。

 シュリランジーニは、父親と夫を亡くしたことで、家を裁判所に差し押さえられ、家を出なければならなくなってしまう。仕方なくシュリランジーニは、家を後にし、町外れで借金をして細々とイドゥリ屋を始める。

 その頃、家族の安否について何も知らないシヴァージは、妹の住むマドゥライに行こうとするものの、マドラスで足止めを喰らい、何も食べることが出来ない状況に追い込まれていた。自らの服を質に入れようとしても、お金を貸してもらおうとしても全く相手にされない。それどころか、完全に浮浪者扱いされるまでになってしまう。その中で、社会の不実を嘆くものの、どうしようもならなくなったシヴァージは、自分が狂人であるかのように振舞うことで生き長らえていく決心をする。

 イトゥリ屋を始めたシュリランジーニの下に、借金屋の取立てが来た時、ひとりの断線が彼女の借金を肩代わりしてあげる。男性は、その代わりに、自分が食事に来た時、只にしてくれるように言う。しかしそれは、言葉だけであって、最初から彼は、彼女を襲うつもりであった。

 シヴァージは、やっとの思いで、マドゥライへと辿り着く。しかし妹の下を訪ねて知ったのは、彼女に降りかかった悲劇であった。シヴァージは、シュリランジーニの店に向かうものの、今のままでは足手まといになるばかりと、影でそっと見守ることを決意する。そこに、彼女に借金の肩代わりをした男性が、シュリランジーニを襲いに来る。その危機を、今日人のシヴァージは、見を呈して妹を守ってあげるのであった。

 長男のサハスラナーマンは、ティルチへ居を構え、判事として活動しながら、兄弟の行方を探していた。しかし全く、シヴァージとシュリランジーニの情報は全く得ることが出来なかった。その頃襲われた事件の後、シュリランジーニは、その店を残してどこかに行ってしまう。シヴァージは、必死でその後を追うものの、行方を探し出すことは出来ない。シュリランジーニは、身寄りのないまま歩くうちに、闇市で暴利を得ている男性の家で働くこととなる。

 狂人の振りをしながら必死で妹を探すシヴァージは、ある日、駅で荷物運びの振りをして弁当盗みを働く。その被害にあったパンダリバーイが宿について外を見ると、シヴァージが、その弁当をからすたちに投げ与えながら晴れ晴れと歌っているのを見て、感心して、心に彼のことを刻むのであった。

 使用人として働くようになったシュリランジーニであったが、家の主人は、もともと妻とは金目当てで結婚していただけに最初から彼女に手を出す気でいた。シュリランジーニは、襲われそうになるものの、そこに妻が現れて危機を逃れる。しかし家にいることを諦め再び、当てのない旅を続けることにする。

 妹を探し続けるシヴァージが、川べりで妹のことを思って独白していた。その独白を、たまたま舟遊びをしようとしていたパンダリバーイが、聞いてしまう。パンダリバーイは、彼が、狂人の振りをしているだけのことを知り、家に招き、事の次第を聞く。彼に同情したパンダリバーイは、ひとつひとつ彼に、彼の現在の狂人の振りをして盗みを働いていることが間違いであることを教え諭す。そのパンダリバーイの言葉は、シヴァージの身にずっしりとのしかかる。それでも、シヴァージは、パンダリバーイの家を静かに後にする。

 その頃、ティルチ近くの村で貧しい人たちと避難民への施設入所の応募が行われていた。そこに、片足を無くした青年とその一団が訪ねてくる。実は、その片足を無くした青年こそ、死んだはずのラジェンドランだった。彼は、入所できなかったものの、貧しい人達と共に、民主主義でより良い世界を作っていこうと集会で説く。ラジェンドランがその集会の場をちょうど離れた所に、シュリランジーニが兄たちがその一団にいないか訪ねてくる。しかし、兄たちがいないのを知って、また当てなく去っていく。その後直に、ラジェンドランは帰ってきて、妹のことを知るものの、シュリランジーニは既に遠くへと行ってしまっていた。

 流れ流れて、シュリランジーニは、判事となり優雅に暮らしている長男のサハスラナーマンの家に辿り着き、食事を恵む。しかし彼は変わり果てたシュリランジーニを妹と気付かずに、足蹴にして追い出す。そして途方に暮れたシュリランジーニは、女神のご加護に頼ろうと寺院へと行く。しかし、その寺院の守をしている僧侶は、これ幸いと彼女にちょっかいを出そうとする。驚いて彼女は反抗するのを見て、寺院の鐘番の僧侶が鐘を盛大に鳴らすことで、どうにか逃げ延びる。

 しかしながら、女神のご加護もなく、全てに絶望したシュリランジーニは、とうとう赤ん坊と共に川に身を投げて自殺することを決意する。息子と共にシュリランジーニは川に身を投げる。しかし彼女だけは、警備の人間に見つかり、命は助かってしまう。そればかりか、子供を川に投げ、殺した罪で裁判所に出廷することとなってしまう。その裁判の判事は、サハスラナーマン。サハスラナーマンは、代わりの果てたシュリランジーニが自分の妹であることを知って、ショックのあまり、錯乱状態になってしまう。

 一方、街頭演説で妹が裁判に出ていることを知ったシヴァージは、女神の寺院の僧侶が妹にちょっかいを出そうとしていたことも知り、その僧侶を傷付け逮捕され、出廷することとなってしまう。

 そしてその裁判がとうとう開廷する。その裁判で、シヴァージは、社会の不正を洗いざらい暴き出していく。そして最後に証人のひとりとしてシャリランジーニが証人台に立つ。しかし彼女は、シヴァージを、ただの狂人だとしてしか思っていなかった。

【コメント】

 シヴァージ・ガネーサンの記念すべきデビュー作。シヴァージが最初に出てきた瞬間から、圧倒的なオーラが立ち込め、空前の大ヒットとなったのも十二分に理解できる。作品は、典型的なDMKフィルムであり、当時の時代状況と政治的背景などを理解していなければ、共感しかねる部分がないわけでもない。特に、後半は作品よりも「主張」のほうが表に出てくる面が無きにしも非ず。しかしながら、シヴァージが最後、法廷で、社会の不正を暴き出していく場面は、あまりにも圧倒的。デビュー作にして、この演技力とスタートしての存在感は、信じ難いとしか言い様がない。作品それ自体は、今にしてみると完成度は低く、評価しかねる部分はあるが、シヴァージの演技を見るだけでも見る価値は十二分にある。






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