2004年7月18日 Workshop ≪特別講演≫
南インド映画と政治とのかかわり=神智学運動と南インド社会=
講演 : 神戸学院大学人文学部 赤井敏夫 教授
神智学協会と南インド社会

心霊主義の流行
時期 1848年のフォックス事件にはじまり、両大戦間(1920年代)まで続く
地域 欧米、米英のプロテスタント文化圏からはじまり、流行はフランスや南米などカトリック圏にまで伝染する。東方教会圏ではロシアや、非キリスト教圏でも日本や中国などで、部分的流行のあった記録がある。

文化現象として
1. 宗教学的に見れば普遍的な憑霊現象のヴァリアントに過ぎないが、歴史的には教会が禁圧してきた民間信仰における巫祝伝統とは断絶している。
2. 死霊との交信という側面が強調されていて、死後の世界が「科学的に」証明できるのではないかという進歩主義的な捉え方をされることが多かった。「死後の生」を認めない懐疑的な立場からも、憑霊現象を乖離性人格障害の典型的症例と見る見解から、心理学研究の発達をうながした一面もある。
3. 反教会主義という面から見れば、プロテスタンティズムのラディカルな一形態。宗教的権威を介さない、個人と霊的存在との直接的交信を重要視する。
4. ジェンダー論的に見れば、社会的に抑圧されていた女性に「社会活動」の場に登場する数少ない契機を与えた。主要な霊媒は女性で占められる。厳格なヴィクトリア朝的道徳によって社会活動の機会を封じられた女性の無意識の欲求が発露したものとも解釈できる。
5. 社会学的に見れば、女性参政権運動、菜食主義、奴隷解放運動、動物保護活動など、当時の社会におけるラディカルな社会改革運動のほとんど全てと習合している。

結論として
脱・組織=個の重視という意味で、典型的な近代化の一運動